日本は年間を通して温暖な気候に恵まれていますが、北陸・上越・北海道等は11月から2月の期間は降雪に見舞われます。気温は零下を下回る日々が続き、インフラにも大きな影響を与える地域です。これらの降雪地域で使用されている通信ケーブルは、関東・九州といった雪があまり降らない地域とは異なった性質を持っているものを採用しています。降雪地域で敷設されている通信ケーブルは、一般的なものよりも外膜が分厚くなっており全体を銅線で包んでいるのが特徴です。
このケーブルのことを「耐候性ケーブル」と呼び、雪や氷が付着すると自然と解けるようになっています。銅は熱伝導に優れていて、太陽光線を受けるだけでも表面温度が10度にまで高まります。この影響により、通信ラインに雪や氷が付着しても凍結することがなく、頻繁に作業員が除雪作業をしなくても良いというわけです。「耐候性ケーブル」が誕生したのは1980年代半ばで、関西にある情報通信機器会社が開発・販売をおこないました。
現在では計5社が製造しており、全国各地の降雪地帯で使用されるインフラ設備となっています。以前は直径50mmの太いラインでしたが、各社が試行錯誤したおかげで直径10mmを切る極細の製品も販売されるようになりました。屋外はもちろんのこと、食品を取り扱う工場ライン等でも電気・通信専用のラインで用いられるようにもなっており、さらに活用される場所が増えるようにもなっています。